irテンプレート用 |

株主・投資家の皆様へ

トップインタビュー

コロナ禍で種蒔きした各種の挑戦を芽吹かせ、豊かな緑にする取り組みを本格化。 代表取締役社長 長丸 昌功

株主の皆様におかれましては、平素より格別のご高配を賜り、心から厚くお礼申し上げます。
第54期中間の報告をいたしますので、ご高覧賜りますようお願い申し上げます。
- 新型コロナウイルスの感染症法上の位置づけが、2023年5月、季節性インフルエンザなどと同じ5類に移行しました。上期の業績はいかがでしたか。

「明けない夜はない」の名言がありますが、新型コロナの5類移行により、人の流れが活発化し、アフターコロナに向けて社会経済活動が回復に向かっていることを実感しています。
このような状況の中で当社は、前年同期に比べて売上高が約10%増、経常利益が約110%増と堅調に推移し、まずはこの結果に感謝の思いでいっぱいです。一方で、来店客数については、コロナ禍前の水準に戻っておらず、わが国が直面する人口減少や少子高齢化が外食産業にも影を落とし、お客様の減少だけでなく、働き手の確保が大きな課題となっています。

- 人口減少や少子高齢化により働き手不足は今後も進行しそうですが、その対策が最重要になっていますね。

省人化や省力化を可能にする最新の設備機器やIT、DXの導入がますます欠かせなくなっています。2023年8月、新築移転した8番らーめん七尾西店(石川県七尾市)では、自動配膳レーンを初めて導入し、配膳ロボットも併用しながら店舗オペレーションの効率化を図っています。懸念したピーク時でもマンパワー不足を予想以上に補えることが分かり、今後、他店舗への拡大にも期待がもてます。
8番らーめんでは、これまでセミセルフレジを導入した店舗はありましたが、今期、商品の注文から支払いまでの全ての過程をお客様自身が行う、レジのフルセルフ化の検証をスタートします。また、フロアスタッフの業務負担の軽減を目的として、らーめん丼や餃子皿の軽量化も進めています。例えば、従来の野菜らーめんの丼は、陶器製で1個750グラムでしたが、新しい丼は520グラムと約30%も軽量化しています。これにより、「重くて運ぶのが大変」という働き手の声にも応えられるでしょう。こういった省力化の効果や問題点などをまずは直営店で検証し、チェーン全店に導入していく考えです。

- 均一な質とサービスを提供するフランチャイズとはいえ、店舗の立地や個性に合わせた取り組みが欠かせなくなっていませんか。

2023年8月にオープンした8番らーめん美川インター店(石川県白山市)では、近くに工業団地があり、朝早くから通勤などで交通量が多いことを踏まえ、午前7時からの営業としました。「朝らー」の愛称で、出社前に立ち寄るお客様や夜勤明けのお客様に多くご利用いただいております。10月25日から朝限定の新メニューも販売し、立地によっては、今後「朝らー」を導入する店舗を増やすことも考えています。
11月にオープンする、8番らーめん金沢工大前店(石川県金沢市)でも、独自の期間限定メニューを提供します。これは当社と金沢工業大学様との共同研究から生まれた商品で、「唐麺」に、やわらかな豚角煮と、こってり背脂をトッピングしたボリューミーな新商品です。企画からすべての過程を学生が中心となって発案し、1年半かけてハチバンの商品開発スタッフとともに作り上げました。今後も、お客様の様々なニーズに対応し、幅広い世代のお客様の利用動機に合ったメニューやサービスを採り入れた店づくりを目指す考えです。
コロナ禍を契機に定休日を設ける店舗も増えています。お客様サービスとしては365日営業していることがベストですが、働き方改革で働き手が無理なく長く働けることも重要なテーマとなっています。お客様にハチバンの味をいつでも楽しんでいただけるよう、店外に冷凍自動販売機の設置も進めており、現在、23台となっています。

- 2022年11月、和食部門で新業態の店舗としてオープンした「八兆庵」と「八千屋」はどうですか。

オープンから約1年がたち、地元を中心にリピーターの方々も増えています。現在、よりお客様に喜んでいただくにはどうすればよいか、商品開発に力を注いでいるところです。8番らーめんに続く第二のフランチャイズチェーンとして、ぜひ育てたいと考えており、1号店が立地する郊外だけでなく繁華街も含めて、多店舗展開の仕組みづくりを検討しています。

- 海外もコロナ禍が一段落し、賑わいが戻ってきていますね。

コロナ規制が早く解除されたタイが好調で、上半期は3店舗増えて計155店舗となり、期末の来年3月で158店舗となる見通しです。将来目標の250店舗に備えて第2セントラルキッチンも、年内には完全稼働の運びです。
現在、大型ショッピングモールへの出店が中心ですが、タイでの「8番らーめん」のネームバリューを活かし、新たな出店場所として、日本のロードサイドにあるサービスエリアのように、軽食を出す店が並ぶコミュニティモールとガソリンスタンドを併設した物件への出店戦略を練っています。
ベトナムでは2023年4月、ホーチミン市に待望の2号店をオープンしました。さらに、今期中に3号店のオープンを予定しており、ようやく軌道に乗ってきたと自信を深めています。
人口増を続ける東南アジア各国は旺盛な消費意欲が経済成長を牽引し、これからも魅力あるマーケットです。新たな出店エリアを探り、チャンスがあればぜひチャレンジしたいと思います。

- 2024年春に北陸新幹線・福井県敦賀駅開業、2025年に大阪・関西万博が迫っています。
株主様へのメッセージをお願いします。

拡大が見込まれる交流人口は、ハチバンブランドを北陸から全国へ発信する追い風となります。例えば、2023年8月、全国から厳選されたサツマイモ自慢の店舗が集まる「夏のさつまいも博」(東京)において、当社が運営するキッチンカー「おいもとレモネード」の商品「ほぼいも」が、お客様投票でネクストブレイク部門1位に選ばれるという嬉しいニュースがありました。

コロナ禍において新しい商品や業態、システムの開発に挑戦し、多様化するニーズに応えられる種蒔きができたと思っています。それらを芽吹かせ、緑豊かな木に育てていかなければと決意を新たにしています。私たちの目指す姿である「『食』と『おもてなしの心』で人やまちを笑顔に、元気に。」の実現に向かって、今後も全社一丸となって邁進してまいりますので、株主の皆様には、引き続き一層のご理解とご支援を心よりお願い申し上げます。