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株主・投資家の皆様へ

トップインタビュー

来期は〝第二創業〟の決意で新しい時代に合った店づくり、商品づくり、人づくりに力を結集したい。 代表取締役社長 長丸 昌功

株主の皆様におかれましては、平素より格別のご高配を賜り、心から厚くお礼申し上げます。
能登半島地震、奥能登豪雨で被害にあわれた方々には、日常の生活が一日でも早く戻ることを心よりお祈り申し上げます。
第55期中間の報告をいたしますので、ご高覧賜りますようお願い申し上げます。
- 今年度はどのような活動に注力していますか。

中期経営計画の実現には、“第二創業”を推進するうえでの人づくりが不可欠であり、従業員の成長を積極的に後押ししています。豊かな経験やスキルを持った人財を外部からリクルートし、多様性の中で切磋琢磨し合うことで、これまでにない企画や商品が次々と生まれる環境づくりを進める一方で、そのベースとして、従業員個々の能力や経験を引き出し、社内コミュニケーションを活性化させることも不可欠です。

「先ず、隗より始めよ」で、私を含めた、部長職以上の経営幹部に「チームビルディング」の手法を取り入れ、事業運営力強化の研修をスタートしました。今後も、テーマごとに外部講師を招き、5年先、10年先をにらんだ当社のビジョンや戦略とその具体策を検討し、実行していきます。
「人づくりの再耕と深耕」を重点活動項目の柱とし、従業員一人ひとりが、いきいきワクワクチャレンジできる、働き甲斐を感じられる職場環境の整備を進めていきます。

- 店づくりや商品開発の点ではいかがですか。

国内は人口減少と高齢化がますます進行しており、これまでのやり方で事業展開を継続するばかりでは、当社の成長は止まってしまいます。創業時、どこにもない「野菜らーめん」でお客様を驚嘆させた圧倒的な商品力の原点に立ち返り、お客様のために、将来を見すえた商品開発に挑むこと、また、これまでの経験やデータをもとにした規模や立地という既成概念を捨て、与えられた条件に柔軟に対応できる新店舗の構想を具現化すべく、開発(地域、店舗、商品)を進めます。
来期中には、そのモデルとなる店舗を北陸以外のエリアで展開する計画です。必ず成功させ、新しいハチバンのスタイルを確立することで、成長の新たなエンジンを手にすることができます。その意味でも、来期を当社の〝第二の創業元年〟にする決意です。

- 8番らーめんは、4月、2年ぶりの価格改定を行いました。

原材料費、人件費、光熱費などの上昇が続き、価格改定を決断しました。従来の価格改定では、その影響が2~3ヵ月後に来店客数や売上の減少となって現われていましたが、今回は違いました。来店客数はコロナ感染症拡大前、2019年の水準にまで戻っている店も多くあります。いずれも喜ばしいこととはいえ、今後も消費者物価の上昇や可処分所得の減少が続くとの見通しもあり、下期は決して予断を許さない状況だと気を引き締めています。

- その対策として何に力を入れていますか。

昨年までは、人手不足解消、生産性向上を図るための「省人化」「省力化」に最も力を入れましたが、今期はお客様目線を第一に、おもてなしの心でQSC(Quality<品質>、Service<サービス>、Cleanliness<清潔さ>)の向上を追求しています。
例えば、接客トレーニングでは従来、紙ベースだったマニュアルや研修教材などを、動画によって見える化し、今年11月からスマートフォンやタブレットでいつでも学べるようにします。何よりもきめ細かさが大切であり、らーめん部門、和食部門に分けるだけでなく、海外展開するタイやベトナムの言語にも翻訳し、教育ツールとして使う計画で、接客のレベルアップを図ります。
さらに、より美味しさをアップする調理方法やお客様に喜ばれるテーブルセッティングの工夫など、マニュアルでは伝えきれない情報やノウハウも動画化することで理解が進み、QSC向上に寄与すると考えています。

- 海外の状況はいかがですか。

タイは、個人消費と観光等の回復に支えられ好調で、今期中には170店舗に到達する見通しです。好調であるがゆえに、時代の変化に鈍感にならないように気をつけなければいけません。店内の雰囲気や接客、提供するメニューを絶えずブラッシュアップしていかないと、やがて飽きられる日がきます。お客様にとって魅力ある商品の開発が課題であると捉えており、現在、専門チームを現地に派遣して取り組んでいます。
ベトナムは、ホーチミン市で8月に4号店目、9月に5号店目を出店しました。地域に浸透してきたとの手応えを感じていますが、多店舗化していくにはまだまだ課題が山積みです。現在、日本から指導員2名を常駐させ、店を取り仕切る店長教育をきめ細やかに行っていますが、私自らも現地に足を運び、現地オーナーとの信頼関係を大切に、今後の方針やありたい姿について語り合うことに時間を割いています。ベトナムの人口は1億人を超え、若年層が多い国であり、今後の成長に大きな期待をしています。

- 能登半島地震からの復旧や支援の取り組みはいかがですか。

液状化被害がひどかった内灘店、宇ノ気店は、建て替えが始まり、ようやく営業再開の目途が立ち安堵しています。地元のお客様からの応援がオーナーさんの後押しになりました。奥能登では、多くの工事関係者やボランティアの皆さんに8番らーめんをご利用いただくとともに、復旧活動の一端を担っていただいていることに、感謝の気持ちでいっぱいです。

また、被災地でのチャリティー活動や義援金の呼びかけ、金沢東急ホテル様に宿泊し、当社の「長八・片町店」をご利用されるお客様を対象に輪島のうるし箸をプレゼントする宿泊プラン等を企画、実施しています。パートナー企業のタイハチバン社も、うるし箸700膳を購入し、国内外に支援の輪は広がっています。

- 最後に株主様へのメッセージをお願いします。

当社の目指す姿である「『食』と『おもてなしの心』で人やまちを笑顔に、元気に。」を実現し、地域社会に貢献していくには、永続可能な事業への再構築が欠かせません。人口減少や人手不足、コスト高など、外食産業を取り巻く経営環境が一段と厳しさを増す中で、私たちは「8番らーめん事業の進化」「人財育成・職場環境の改善」「商品開発・調達・製造の強化」「海外事業の強化」「和食事業のFC化」「SDGsの取組み強化」に重点的に取り組み、株主の皆様のご期待に応えてまいります。引き続き一層のご理解とご支援を、心よりお願い申し上げます。